健康にすごしたいのでビタミンやサプリメント、健康食品を取り入れたい、ちょっと太ってきた感じがするのでダイエットをしたいなど、食生活を変えようと思ったとき
――何を変えたらいいのだろう?――
と悩むことがありませんか?
その悩みを解決する食生活の見直し方法をご紹介しましょう。
1.健康にすごすためのヒントは食事摂取基準
「あなたの食生活で改善できることはありますか?」
――このように聞かれたら、とっさには思いつかないことが多いのではないでしょうか。
実は日本には、健康を保つため、また、ますます健康になるために定められている食事に関する基準があります。
それが「日本人の食事摂取基準」。
現在使われている2015年版は、2015年度から2019年度まで使うこととされています。
病院でさまざまな病気の入院患者さんの献立づくりをしたり、最近では薬局で健康相談にのったりしている栄養のプロ、管理栄養士の方々が基準として使っているのが、この「日本人の食事摂取基準」ですので、食生活に関して参考になるヒントがたくさん書かれています。
たとえば、ダイエットをするときには、必要なカロリーより摂取カロリーが多いと体重が増えてしまいますので、まず食事からの摂取カロリーが気になりますね。
ところが、そもそも個人個人によって年齢も身長も活動の度合いも異なりますので、たとえ同じ年齢でも必要カロリーは異なっているのです。
ですから、この必要カロリーがどのぐらいかということを知るのが大切になってきます。
そのようなとき、「日本人の食事摂取基準」では、必要なエネルギーを体格にあわせて計算することができるのです。(「1日に必要なカロリーと栄養素を知る」参照)
また、健康にすごすためには、単に摂取カロリーだけを気にするだけでは、不十分といってよいでしょう。
三大栄養素である、たんぱく質、脂質、炭水化物のバランスや、ビタミンやミネラルの必要量もわかったうえで、バランスよく食べることが必要です。
そのバランスを保つための基準も「日本人の食事摂取基準」には書かれています。(「ビタミンのすごい働きとその効果!ビタミンの種類と構造」「五大栄養素「ミネラル」について知る!」参照)
しかしながら、栄養素のバランスをとりながら食事をとることは必ずしも容易でありません。
自分が何を食べたのか、何がたらないのか、自分の食事について把握するには、どのようにしたらよいのでしょうか。
2.自分のとった食事を調べるーその方法とはー
自分のとった食事内容を調べるにはどのようなものがあるかというと、
○実際に食べたものを記録する方法
○ある期間に食べた頻度から推測する方法
○血液や尿中の物質をはかって調べる方法
○実際に食べたものと同じものを分析する方法
などさまざまなものがあります。
ところが一般的に使えるかどうかを考えてみると、実際に食べたものを記録する方法は、数日であれば可能かもしれませんが長期間に調べるのは難しいかもしれません。
血液や尿中の物質をはかったり、実際に食べたものと同じ方法を分析したりする方法は、手間も費用もかかります。
そこでおすすめしたいのが、「ある期間に食べた頻度から推測する方法」です。
この方法であれば、自分が何を食べて何がたらないのかを把握するのに適していると考えられています。
たとえば、「牛乳を週に何回飲んでいますか?」という質問でしたら答えられそうですよね。
ちなみにこの質問への回答からは、たんぱく質やカルシウムの摂取量がたりているかどうかがわかります。
このような方法であるとイメージしていただくと良いでしょう。
3.ある期間に食べた頻度から推測する方法
具体的に利用できる調査方法の例として「簡易型自記式食事歴法質問票BDHQ」をご紹介しましょう。
栄養に関する研究者が使っているDHQ(自記式食事歴法質問票)という方法を東京大学の佐々木敏教授が簡略化した方法です。
研究で使われることが多いのですが、個人でも体験申し込みをWEBサイト(http://www.ebnjapan.org/)から行うことで(郵送費などはかかりますが)利用することができます。
この方法では、身長や体重など基本的事項を記載し、最近1か月間の食習慣については第一印象で答えていきます。
まず、問いにある食べ物ごとに、どのぐらいの頻度で食べているかを答えます。
選択肢は、「毎日2回以上」「毎日1回」「週4~6回」「週2~3回」「週1回」「週1回未満」「飲まなかった/食べなかった」といったものですので、あまり負担にはならないでしょう。
食べ物の種類は、ミルク類、肉類、魚類、卵、大豆類、いも、野菜類、スイーツ類、フルーツ類、パン、麺類などごとに、いくつかの具体的な食材が書かれています。
そのほか、飲み物、お酒の量も記載するようになっています。
また、肉や魚の調理方法の頻度から、調理に使う食塩、油、砂糖の量が計算されるようになっています。
このような質問への回答結果から、「日本人の食事摂取基準」を基準としたとき、「このままを維持」「注意が必要」「改善が必要」、基準より「多め」「少なめ」というコメントを返送してもらうことができます。
身長、体重を記載しますので、BMIも計算され、肥満の目安とともに記載されてきます。
「日本人の食事摂取基準」を熟読しなくても、自分の食生活について、コメントしてもらえますので、自分の食事について把握したいときに、役に立つ方法といってよいのではないでしょうか。
4.食生活を改善する12の見直しポイント
何らかのきっかけで食生活を見直そうと思ったとしても、少し時間がたつと何について気をつけたらよいのか忘れてしまうことがあるかもしれません。
食生活のチェックを受ける前に、まずは少し自分で改善してみたいと考えることもあるでしょう。
そのようなときに見ていただきたいのがこの「食生活の見直しポイント」です。
1 | BMI | (体重kg÷身長m÷身長m)は18.5~24.9をめざしましょう(18~49歳の場合) |
2 | カロリー摂取量 | ふつうの身体活動レベルの場合、男性1日2650 kcal、女性1日1950~2000 kcalが目安です(18~49歳の場合) |
3 | 炭水化物 | 1日に必要なカロリーの50~60%をとりましょう(炭水化物1 g=4 kcal) |
4 | たんぱく質 | 体重1 kgあたり1日1.0~1.2 gをとりましょう(たんぱく質1 g=4 kcal) 少なすぎると筋肉量が減り、基礎代謝量(基本的な必要カロリー)の減少につながります 肉類、魚類、卵、大豆製品、乳製品を食事に必ずとりいれるようにしましょう |
5 | 脂質 | 1日に必要なカロリー摂取量から、必要な炭水化物とたんぱく質のカロリーをひいたカロリー分におさえましょう(脂質1 g=9 kcal) 多すぎると肥満・糖尿病・脂質異常症・循環器疾患につながります |
6 | ビタミンC | 不足しないよう、果物、野菜を食べましょう |
7 | 葉酸 | 不足しないよう、野菜、豆類、きのこ類、海草類を食べましょう |
8 | 食塩 | とりすぎないよう、塩やしょうゆを使いすぎたり、塩分の多い味噌汁やスープをとりすぎたりすることは避けましょう 多すぎると高血圧などにつながります |
9 | カリウム | 不足しないよう、野菜、果物、豆類を食べましょう |
10 | カルシウム | 不足しないよう、乳製品、大豆製品、野菜を食べましょう |
11 | 食物繊維 | 第6の栄養素である食物繊維は、積極的にとりましょう |
12 | アルコール | 飲んだとしても、1日平均で日本酒換算1合までにしましょう |
食生活の見直し方法について、自分の食生活を見直す具体的な方法と、食生活の見直しポイントをご紹介しました。
健康を保つため・ますます健康になるために、少しずつでも食生活にとりいれてみてはいかがでしょうか。